ワツ的には2017年のベスト本でした。随分長い間楽しませてもらっている人気ブログ「黄金の金玉を知らないか?」でお馴染み、玉蔵氏の新刊。昨年の秋ごろからブロックチェーンについての勉強をし始めたところだったこともあり、期待以上の内容に感じ入りました。
「ブロックチェーンとは何なのか」「どんな仕組で動いているのか」「仮想通貨はどのような原理で流通やマイニングが行われているのか」「仮想通貨以外にはどんなサービスが生まれているのか」そして今後広まっていくとされる「シェアリングエコノミーの未来とは」……等について、ほとんど予備知識が無くても俯瞰的に概容を把握できるよう書かれていて、入門書として読んでおきたい一冊です。
本書が他のブロックチェーン関連の解説書と比べて出色と思われるのが、仮想通貨そのものを自作してしまう方法(IT技術的な過程)が極めて初歩的なところから解かれている点。そしてその内容を補完するために、別途「ブロックチェーンAI研究所」という情報サイトが設けられていて、そちらが日々更新されているところです。技術情報は日進月歩なので解説書などの内容はすぐに古くなってしまいますが、この補完サイトによって常に最新の動向にキャッチアップできるようになっているのです。
そして本書で最も重要なのが、第5章「お金って? 通貨の根本にある大切な事」だと観じます。この章の内容は「黄金の…」ブログでも繰り返し説かれている話題で、現在の世界の基軸通貨である米ドルを発行しているFRBが単なる私企業であることをはじめ、一部の限られた金融財閥が世界の冨を収奪している仕組など、超基本的&重要なのになぜか表立って語られない金融に関する話です。そういったことも含めて、“社会や政治を変化させる手段として強力な暗号技術の広範囲な利用を推進する活動家”がサイファーパンクと呼ばれる技術者たちであり、そのために彼らが考え出したのが暗号通貨であるというのは実に興味深いところです。
玉蔵氏が金融関係のご出身であることはブログの読者として知っていたのですが、本書のプロフィール欄を見てLinuxのエバンジェリストだったと初めて知り、その事にも肝銘を受けました。まぁ、ブログにはモンサントの大株主であったり優生学の見地からアフリカで人口削減ワクチンなどの慈善事業(?)を行なっていると言われるビル・ゲイツ云云の話題もよく出てくるので当然と言えば当然ですけど、流石です。リアルのプロフィール写真はなかなかサワヤカな感じのイケメンな玉蔵氏なんですが、案外、竿には筋金が入ってるんではないかなどと拝察した次第です。 🙄