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【まるっと“超”基礎】ブロックチェーン⑦ 時代の流れはキャッシュレス化〜仮想通貨に向かう

日本は世界に先駆けて資金決済法に仮想通貨を入れた国であり「30年後には世界の通貨は全て仮想通貨になる」とも言われる流れをリードしていくべき立場にあります。
とはいえ、日本は
現金主義の高齢者の割合が高いこともあり、未だにクレジットカードや電子マネーが使えない店舗も少なくありません。

現金からキャッシュレス社会へ移行するのはそれなりに時間がかかるとも予想されるものの、世界の潮流は確実にそちらに向いており、普通の市民生活の中で仮想通貨を使った支払いなども加速度的に進むと考えられます。

政府や銀行による仮想通貨(デジタルマネー)も検討されており、その際、その通貨の管理はプライベートなブロックチェーンが用いられ、政府や銀行が行う中央集権型の金融システムとなります。

しかしビットコインなどの仮想通貨が登場してきた背景には、中央銀行がコントロールする金融システムへの反発があり、パブリックなブロックチェーンを使って中央に管理者が不在でも取引ができるという、人類史上において革新的な金融システムの樹立を目指してきたことがあります。

今後の仮想通貨の流れが、この2大潮流の併存になるのか、あるいはどちらかに収斂していくのかで、社会への影響はかなり違うものになると思われます。

中央銀行による仮想通貨発行の危険性については、「ブロックチェーン革命…分散型自律社会の出現|野口悠紀雄 著」で次のように述べられています。

中央銀行が国民の詳細なプライバシー情報を手に入れる

 さらに大きな問題がある。

 それは、中央銀行が全国民の詳細なプライバシー情報を手に入れることだ。

 ビットコイン型の仮想通貨や銀行が発行する仮想通貨であれば、それを使うかどうかは個人の自由だ。使いたくなければ、使わなければよい。しかし、中央銀行が仮想通貨を発行すると、すでに述べた理由によって、すべての国民や企業は中央銀行に口座を持ち、すべての取引をそこで行なわざるを得なくなる。利用が強制されるわけでないのだが、事実上使わざるを得ない状態になるのだ。

 取引は暗号を用いて行なわれるから、直ちに取引者が同定できるわけではない。しかし、中央銀行は追跡が可能だろう。

 したがって、中央銀行は、すべての経済活動を、個人や個別企業のレベルで詳細に把握できることになる。つまり、あらゆるプライバシーは、中央銀行に筒抜けになるわけだ。

 しかも、その情報は、中央銀行だけが把握できるものであり、他の機関は把握できないものだ。警察や検察も得ることができない情報を、中央銀行が把握するのである。

 この問題は、日本銀行自身も意識している。第3章の3で紹介したレポート「中央銀行発行デジタル通貨について-海外における議論と実証実験-」の中で、「中央銀行が全ての取引にかかる情報を把握し得るような形でデジタル通貨を発行する場合、中央銀行はこれらの情報をどのように取り扱うべきかといった問題もある」としているのである。

 中央銀行がこうした情報を直接に利用することは考えにくいのだが、捜査当局や徴税当局から情報提供の要請があることは、十分考えられる。銀行が発行する仮想通貨の場合にもそうした要請はあるだろうが、民間企業であれば、それを拒否できる。アメリカの例だが、2015年12月の銃乱射事件に関して、FBI(連邦捜査局)は、iPhone のロック解除技術の作成を要求したが、アップル社は拒否。その後の裁判所の命令も拒否した。

 しかし、公的機関である中央銀行は、拒否できないのではないだろうか。すると、国が、国民の経済活動に関する個人レベルの詳細な情報を入手できるようになる。

 これは、ジョージ・オーウェルが『1984年』で描いた「ビッグ・ブラザー」そのものだ。ビッグ・ブラザーは全能の独裁者であり、その権限の源は、全国民の生活を仔細に観察できることだ。それと同じ世界が、中央銀行が発行する仮想通貨によって実現することになる。

 われわれはこうした状況が生じることを、なんとしても食い止めなければならない。

 

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