インターネット上で資金提供者を募るという点では、ICOやSTOもクラウドファンディングの流れを汲む仕組みと言えるかもしれません。
クラウドファンディングは概ね「寄付型」と「投融資型」に分けられますが、投融資型とICO/STOは似ているように見えます。
但し、大きく異なるのが次の2点:
- 調達対象:クラウドファンディングでは通常、法定通貨(円やドルなど)で投資家から資金を集めるのに対し、ICO/STOでは投資家は暗号通貨(イーサリアムなど)で支払いを行う。
- 権利の譲渡性:クラウドファンディングでは投資家と資金調達者は1対1の関係であり、投資家は投資で得た権利を他人に譲渡するようなことはない。これに対してICOやSTOでは投資家は受け取ったトークンを第三者に譲渡して投資した資金を回収することができる。
時代はICOからSTOへ
高級リゾートホテル(コロラド州アスペン)のSTOにおいてプラットフォームとなったのが、クラウドファンディングの先駆者であるIndiegogo。
同社がSTOを行うと発表したニュースで、共同創設者のRubin氏は「ICOからSTOへと時代は変化していく」と語っています。
今回のSTO発表に関して、Indiegogo共同設立者であるSlava Rubin(スラヴァ・ルービン)氏は、「2018年は、規制当局が投資家と企業それぞれの保護を目的としてICOなどの規制に積極的な姿勢を取ってきた。
ICOに対する法的な在り方が明確になるにつれて、セキュリティートークンへの需要に変化が生まれている。」と述べた。
Rubin氏によれば、従来のICOとは異なり、明確な担保があるSTOが今後標準化するとのこと。
しかし、STOが分散型技術による社会の変革の中で「最も破壊的なもの」だと主張しているRubin氏だが、あくまでこれは規制に準拠したものであることも留意すべきと語る。
「他の投資と同様に、常に勉強することをおすすめする。その意味でもSTOの利点の一つに、SEC(アメリカ証券取引委員会)がリスク要因や透明性について記した明確なガイドラインを投資家に向けて作成している。」
しかし、Indiegogo社は完全にICOを見捨てているわけではない模様。
クラウドファンディングの先駆者である同社は、ICOの資金調達方法に共感し、今後もそれを資金調達の一形態として世界中の人々が受け入れることを支持するそうだ。
その一方で、同社が本格的に関与していくべきものであるかは検討したいとRubin氏は語った。
さらに、業界全体から注目が集まるビットコインETFについては、「それが良いか悪いかについては言及できないが、私たちはこの業界へ新たな関心を生み出すあらゆるプロジェクトを支持している。」とRubin氏は述べた。