2017年はICOブームでした。その影で多くの詐欺まがいのコインも登場し、大怪我をした投資家も少なくなかったようです。
ICOとは
ICO(Initial Coin Offering:新規仮想通貨公開)は、企業が独自の仮想通貨(トークン)を発行し、それを販売して行う資金調達の方法です。
「クラウドセール」や「プレセール」「トークンセール」等とも呼ばれます。
従来の一般的な資金調達方法と異なる点は、トークンを購入するには現金でなく仮想通貨が用いられるという点。
仮想通貨を利用して行うので簡単に世界中のICOに参加することができます。
日本の投資家がICOに参加するためには、国内の仮想通貨取引所であるビットフライヤー(bitflyer)やビットバンク(bitbank)などで、まずイーサリアム(Ethereum=仮想通貨)を購入し、それをICOトークンと交換することが一般的な方法です。
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ICOのキャピタルゲイン(投資による利益)に魅力に感じて参入し、多くの利益を得る投資家がいる一方で、大きな損失を出したりICO詐欺に引っかかる投資家も少なくない。
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そのような事例を受け、法整備が整っていないICO投資のリスクから投資家を保護するため、ICOに厳しい規制を検討、実施する国も出てきている(アメリカ/シンガポール/香港/ロシア/イギリス/スイス/中国/韓国…etc)。
日本では資金決済法が改正され、企業が仮想通貨をトークンとして発行する場合は仮想通貨交換業のライセンスが必要となります。
ICOで成功した事例
イーサリアム(Ethereum)
ビットコイン(BTC)に続く第2番手の仮想通貨であるイーサリアムは、2014年にICOによって誕生。
2013年にイーサリアムのプロジェクトが立ち上がり、2014年にプレセールが行われ、1期から4期に分けられたプレセールの1期では、1ETH(イーサリアム)約26円で取引されていた。
2015年にイーサリアムが市場公開してからは1ETHの価格は遥かに上昇(2018年12月6日時点で約11,000円の価格で取引されている)。
ブレイブ(Brave)
Firefoxを開発したMozillaの前CEOでありプログラミング言語JavaScriptの開発者として知られるブレンダン・アイク氏が立ち上げたブラウザ開発会社「Brave」は2017年6月にICOを実施し、10億枚発行された仮想通貨(自社トークン)BATはわずか24秒で完売、3500万ドル相当の資金調達を成功させた。
Braveは広告ブロックがデフォルト設定となっている次世代ブラウザで、既存の大手ブラウザとは異なり、ユーザーの制御が及ばない範囲での個人情報の過度な追跡は行わず、プライバシーを担保する。
創業者の圧倒的な知名度や話題性によってこのような成功に結びついたと言えるが、その割に参加者が少なかったので恩恵を受けた投資家はごく少数だった。
ICOによって極めて大きなリターンを得ることができるという典型的な成功事例。
※このBraveというブラウザはかなり優れものです。特にYouTubeなどは広告なしに視聴できて快適です。
アラゴン(Aragon)
アラゴン(Aragon)は、営利・非営利を問わずあらゆる組織運営の創造と維持を目的として、ガバナンス・給与計算・会計・キャップテーブル管理・資金調達などの基本的な組織管理機能を分散型管理することを可能にしたプラットフォーム。
わずか15分で2,500万ドルの資金調達を行なったことで有名。
独自通貨(トークン等)とは
「トークン(Token)」は本来、代替貨幣・引換券・商品券・記念品・証拠という意味を持つ英単語です。
仮想通貨における「トークン」とは、厳密に定義されているわけではないようですが、企業や個人がブロックチェーン上で発行した独自の暗号通貨のことを指します。
代用通貨のようなものとも形容され、発行者が供給量を操作できるなどの特徴があります。
独自通貨の発行
独自通貨(トークン)の大きな特徴のひとつは誰でも発行できること。
その際には、既存の仮想通貨(「ビットコイン(BTC)」「イーサリアム(ETH)」「カウンターパーティ(XCP)」「ウェーブス(WAVES)」「ネム(NEM/XEM)」)などのブロックチェーン上に構成されたプラットフォームを使うケースが多いようです。
「ブロックチェーン上に構成された」とは、独自のブロックチェーンを持つ他の仮想通貨とは違って、ビットコインなどのシステムを「間借り」するような形で「取引データに意味をプラスする」という方法を利用しているということです。
ポイントとはどう違う?
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トークンは取引所で売買・譲渡できるが、ポイントは他人に譲渡できない。
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ポイントは発行元の企業が決めた交換レートに固定されている(1ポイント=10円など)が、トークンは為替や株などと同様に、需給バランスによって価格が常に変動する。
トークンの種類
ICOによって発行されるトークンは、購入者に与える利益のタイプによっていくつかの型に分類できます。
■引換券型
ほとんどのICOによるトークンは、開発されたサービスの利用権の引換券として使われることを前提としている。
サービスによって異なるが、サービス内での支払いや懸賞金として使われるなど、トークンの発行者が指定する利用方法に沿って使用する。
■投資持分型
株式における配当のように、トークンの所有者に一定期間の事業利益の一部を分配するタイプ。
■優待付会員権型
一定期間トークンを保有することで、トークンの発行者が何らかの優待を付与するタイプ。
株式における株主優待のように、発行企業の商品が安く買えるクーポンなどをトークンの所有者に付与する。
■暗号通貨型
特定の事業で使われることを前提とせず、ビットコインやイーサリアムのようにトークンそのものに通貨としての機能を持たせ、一般の取引に利用してもらうタイプ。
トークンによるICOのメリット
発行者のメリット
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多額の資金を短期間で調達できる。
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サービスを開発する前の構想段階でもビジョンを提示することで資金を調達できる。
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企業の置かれた状況や財務状態に応じて、購入者への対価の設定が柔軟に対応できる。
投資家のメリット
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海外の企業(ほとんどがベンチャー企業)に手軽に投資できる。
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高い利益率が見込める。
トークンによるICOのデメリット
発行者のデメリット
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法的な整備や規制が追いついていない。
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少数の投資家による買い占めなどが行われる可能性がある。
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トークンが流通せず価格が低迷するリスクがある。
投資家のデメリット
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元本割れするリスクがある。
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詐欺案件に投資してしまう可能性がある。
少なくないと言われる詐欺まがいの案件ですが、摘発も困難なようです。
海外を拠点としていたり、「プロジェクトが進行している」ように見せたりされ、決定的な証拠をつかむことが難しい。
捜査にもそれなりに大きなコストがかかりますが、警察で予算が組めない等々… 😡
そのような経緯で、各国の金融当局ではICOに関して、相当に厳しい規制の動きがありますが、それに対応して新しい資金調達の方法も出てきています。
それがSTO(Security Token Offering)です。